Apple Business Essentialsで企業のIT部門はどう変わるのか?(WWDC関連追記あり)

Apple Business Essentials ブログ
Apple Business Essentials

ずいぶん前に発表されている事を知っていたものの記事を書くあげる程にモチベーションがそこまで上がらなかったので自分用のメモまでで放置していた件です。まだ米国市場のみが対象のようですが、本家サイトの情報からどのようなサービスなのかを想像してみました。

Business Essentials

ターゲットはIT部門を持たないSMB層で、アップルが自社デバイス向けのデバイス管理全体と24時間/365日のサポートと共有ストレージをサブスクで提供するというサービスのようです。これとは別で有償のApple Care+ for Businessと言うものが提供されているようです。2ヶ月無償のフリートライアルで、現ベータ版利用者にも提供されるとのこと。

詳しくは紹介動画から想像するしかないです。

提供される機能

  • Setup
  • Onboarding
  • Backup
  • Security
  • Support
  • Repairs
  • Updates

Setup

端末初期設定部分の事だと思いますが、Azure Active DirectoryとGoogle Workspaceの2つの名前が載ってるので、ユーザーアカウントの管理自体は別にあるという前提でそこと自社のビジネス用Apple IDを紐づける形でサービスを提供するのではないかと思いました。

Onboarding

Collections

この機能によってユニークになるというのは、概念がユーザー単位な事だと思います。同じ職種のチームのメンバーには同じ権限で環境を払い出すことができるようになるので、たとえばAというチームの全員には2TBのストレージとA1、A2、A3というアプリのインストール権限まで与え、マネージャーにはBというアプリまでインストール可能にする、ということがテンプレで設定できるので、仮にマネージャーがFireされて端末を真っ新にした場合にも、次の管理者用にAシリーズのアプリに加え、Bもインストール可能であるといった端末をサクッと渡せるようになるわけです。

Backup

文字通りデバイスのバックアップ管理を自動でやってくれるのでしょう。iCloudで慣れている世界ですよね。きっと。

Security

MDM、MAM、MCMの話なのでしょうかね。

Support

紹介ビデオの中では次のリペアとセットで語られてます。

Repair

きっと端末が壊れてもすぐに交換品が届くという事だと思います。リモートワーク環境だと社員おおうちに届くのでしょうか。これもAppleCare+でお馴染みのやつですよね。

Updates

よくわからないのですが、サブスクサービスなのでいつでも最新版が使える、という意味なのかな。

セールスポイント

今のところ容易に管理が出来るので時短に繋がる点

を押してるようです。

まさしく「1人情シス」と呼ばれる事業所サイズの方にFitするような設計なのでしょう。電話はiPhone、パソコンはMacをお使いの事務所で例えば社員とバイトを合計すると10人くらいいるとデバイス管理だけで20台ですし、そこにiPadがあったりでデバイスが増えていくはずですし、顧客から預かったデータを管理する観点からもデバイスへのアクセス制限をしたい、とか社長だけは全データをのぞけるように裏設定したい、とか日々の業務の合間に片手間でやるには割と大変だけど、専任の人を雇うほど事業的にゆとりがない、というのはよくある話では無いかと思います。

ある意味では、エンドエンドのクローズドシステムを得意分野とするアップルじゃないとやりにくい領域を自分で取り組むことにしたという事なのだと思います。

あまり注目してなかったので詳しくないのですが元々iPhoneのエコシステムを作る中で自社が使っていたツールを外部からも利用させるようなAPIの切り方が出来たから課金サービスに仕立ててきた感じなのでしょうか。

ただ利用定着などの顧客接点からカスタマーサクセス領域を司るB2B版AppleCareについてはかなり人材を積極採用しているようでして、一時期積極採用していた事がありましたので、いずれ日本や米国以外でもスタートすると発表するのでしょうね。

価格

今時端末が1台と言う事はないと思うので、$2.99/mo は客寄せパンダ商品だと思いますが、$6.99/moか $12.99/moをメインに置いているのではないでしょうか。そこにビジネス版AppleCare+が載ることで$7か $13か $12という謎の階段のアドオン課金体系になっています。作った人の発想に寄り添うなら一番高いストレージが2TB付いているやつにAppleCare+を付けて欲しいという感じなのでしょうから月額25ドルという価格帯でSMBの上位層まで視野に入れてみたサービスと考えると良いのかも知れないと思いました。表に出ていないので全く知りませんが”Enterprise”も視野に入れたプランはあるのでしょうかね。Appleがその領域に手を出してくるという事はWindows端末も管理するという事だと思うので、どういうMagicがあるのかちょっと興味はあります。

競合

実はこのEMMの分野の単独で勝負している企業は割と淘汰された後じゃないかと思うのですが、基本的に旧G Suite、今のGoogle WorkspaceがSuiteらしい強みを発揮してきた分野で、最近はMicrosoft365がIntune使ってMDM、MAM分野を攻めていると思います。

macOSやiOS、iPadOSという更に閉じた市場で考えるとJamfが有名(私が詳しくなくこれしか知らない)で、GIGAスクール構想とかで導入されている事例があったりするようです。

大企業層にはどう映るか?

企業規模を問わず、業務でmacOSを利用している企業はあると思うのでニーズ自体はあるとは思います。ただ、大企業となるとIT専任の部署があり、レガシーなツールの管理も含めて対応する必要があるので、アップル製品だけ管理するというサービスを追加で導入しろと言われても、一元管理できないから困るんじゃないでしょうか。そう考えると現状ではSMB層以上に拡がる感じがあまり見えないとは思います。

よって、タイトルの観点でいうと現状の情報だけではIT部門はそこまで変わらないんじゃないのかな、と言う感じです。あくまでターゲットにはまる「IT部門のない会社」、「端末はアップル製品しかない」、「現状でEMM製品未導入」、「何があってもAppleを信じる」という会社なら考えても良いのかも知れないです。

まとめ

現状では開示されている情報が少なすぎるので全て憶測でしかありませんが、課金化を急いでいるGWSをビジネスアプリとして使うようにして、端末を含めたEMM領域はAppleに巻き取るというイメージで考えると今のところはしっくりくる感じではあります。iOSで得た覇権を守るためには企業系の市場も押さえていこうという考えなのでしょう。

来週からWWDC22もありますし、眼鏡が出るとかRealityOSが出るとかの楽しみもありつつ、個人的な興味はEnterpriseビジネス系の情報で面白いものが出てこないかな、と期待はしています。

追記

WWDC2022のセッションでいうとこちらがストレートにBusiness Essentialsに関するもののようです。MDMなど全体についてはこちらが全体概要みたい。とりあえず公開されたら確認してみたいと思います。

プロフィール
書いた人
野崎 秀吾

Content Syncretist(コンテンツシンクレティスト)
コーヒーとクラフトビール好きです。平日日勤帯は在宅勤務が多いです。
ジェネレーションアルファ世代の双子の父。
Brompton乗ってます。
最近のプロジェクト:
* AIを活用して、架空のファッション雑誌風写真集を出版。

Tokyo WFH Radioはテレワークで出勤時間相当の可処分時間が出来たので、独学者として活動したアウトプットを中心に書いているブログです。

SNSで私を見かけたら、ぜひお声掛けください。AIとクリエイティビティ、音楽制作の裏側、あるいは日常のことなど、皆さんとの交流を楽しみにしています。

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