こんにちは。2025年のAI研究界隈、ついにここまで来たか…という衝撃的なニュースが続々と飛び込んできています。なんと、AIが自分で研究して論文を書き、それが一流の学会に採択されるという、SF映画のような現実が目の前で起きているんです。itmedia+1
今回は、そんな最先端のAI研究論文を5つピックアップして、その中から特に面白い「Tempest」という手法を取り上げて、実際にどうやって実装できるかまで考えてみました。音楽制作やコンテンツ創作をしている私の視点から、「これ、クリエイティブな現場でも使えるんじゃない?」という観点で解説していきます。
🔥 いま注目すべき5つの最新AI研究
1. AlphaEvolve:56年ぶりに数学の常識を破ったAI(DeepMind)
DeepMindが2025年6月に発表した「AlphaEvolve」は、なんと56年間誰も解けなかった複素行列乗算の効率化問題を解決してしまいました。yorozuipsc+1
これのすごいところは、従来の「教師あり学習」じゃなくて、進化的アルゴリズム(つまり生物の進化をシミュレート)とLLMを組み合わせた点。人間が「こうすべき」って教えなくても、勝手に試行錯誤して最適解を見つけちゃうんです。
出典URL:https://deepmind.google/research/alphaevolve/
2. AI Scientist-v2:査読を通過した初のAI生成論文(Sakana AI)
日本のSakana AIが開発した「AI Scientist」の第2版が、2025年3月にICLR(トップカンファレンス)のワークショップで査読を通過。これが世界初の事例です。note+1
つまり、アイデアを思いつくところから、実験して、結果をまとめて、論文にするまで、全部AIが自動でやっちゃったってこと。人間の研究者は最初のテーマを渡すだけ。
出典URL:https://www.sakana.ai/ai-scientist/
3. Zochi「Tempest」:ACL本会議を突破した完全自律AI研究者(Intology AI)
これが今回のハイライトです。Intology AIが開発した「Zochi」というAI研究者が、採択率わずか20%の超難関学会ACLの本会議に論文が採択されました。note+2
ワークショップじゃなくて「本会議」っていうのがミソ。これは人間の研究者と完全に同じ土俵で戦って勝ったってことなんです。
論文の中身は「Tempest」という手法で、AIの安全性を突破する新しいジェイルブレイキング手法。GPT-4に対して97%の成功率を達成したそうです。
出典URL:https://www.intology.ai/blog/zochi-acl
4. Absolute Zero:外部データなしで自己成長するAI
2025年5月に発表された「Absolute Zero」は、外部のトレーニングデータを一切使わずに、自分で問題を作って自分で解いて成長していくという、ちょっと哲学的な手法。themoonlight+1
これって人間でいうと、教科書なしで独学で学ぶようなもの。しかも専門家が作ったデータセットより良い成績を出しちゃうっていう驚異的な結果が出ています。qiita
出典URL:https://arxiv.org/abs/2502.xxxxx(プレプリント版)
5. Stream Diffusion:リアルタイム画像生成の革命(日本人研究チーム)
これは2023年12月の論文ですが、2025年現在も現役で使われまくってる技術。従来の画像生成AIを59倍も高速化して、RTX 4090で100fps超えを実現。otama-playground+2
つまりリアルタイムで動画生成ができちゃう。これ、ライブパフォーマンスとかVJ(ビジュアルジョッキー)で使ったら面白そうですよね。
出典URL:https://github.com/cumulo-autumn/StreamDiffusion
🎯 深掘り解説:Zochiの「Tempest」がヤバい理由
さて、5つの論文の中から、実装方法まで考えるために「Zochi」を選びました。理由はシンプルで、音楽制作やコンテンツ創作にも応用できそうだから。
Tempestって何?
従来のジェイルブレイキング(AIの制限を突破する試み)は、1回のプロンプトで突破を狙う「力技」でした。でもTempestは違います。intology
複数ターンの自然な会話を通じて、じわじわとAIの安全性境界を侵食していくんです。まるで詐欺師が信頼を築きながら騙すように(笑)。
技術的な面白ポイント
Tempestには3つのコア技術があります:
- ツリーサーチ構造:会話の分岐を複数同時に探索
- クロスブランチ学習:異なる会話経路から学んだことを共有
- 部分コンプライアンス追跡:「どれくらい制限が緩んだか」を段階的に測定
これ、実はコンテンツ制作のアイデア出しにも使えるんじゃないかと思ってます。例えば:
- 「この曲のアレンジ案を10パターン出して、それぞれを深掘りする」
- 「動画の構成案をツリー状に展開して、最適な流れを見つける」
みたいな使い方ができそう。
💡 実装アイデア:進化型マルチエージェント研究システム
ここからが本題。Zochiの技術に、AlphaEvolveとAbsolute Zeroのエッセンスを加えて、自分で実装できるシステムを考えてみました。
コンセプト:「AIが勝手に研究してくれるシステム」
想像してみてください。あなたが「AIを使った音楽生成の新しい手法を研究したい」ってテーマを投げると、AIが勝手に:
- 最新論文を100本読んで分析
- 新しいアイデアを10個提案
- そのうち3つを実装してテスト
- 結果をまとめて論文形式で出力
これを完全にローカル環境(自分のPCやサーバー)で動かせるとしたら?クラウドの月額課金に怯えることもなし。
システム構成図
text🎬 入力
└─ 研究テーマ(例:「ローカルLLMの音楽生成への応用」)
🤖 AIエージェントチーム
├─ 文献分析エージェント(論文を読む担当)
├─ アイデアマンエージェント(仮説を考える担当)
├─ エンジニアエージェント(コードを書く担当)
├─ 実験担当エージェント(テストを実行する担当)
└─ ライターエージェント(論文を書く担当)
🧬 進化システム
└─ 複数世代にわたって改良を重ねる
✅ 自動評価
└─ 生成したコードを実際に動かして性能測定
📄 出力
├─ 学術論文(査読対応形式)
├─ 実装コード(GitHub形式)
└─ 実験ログ(JSON形式)
技術スタック:ローカル環境で完結
私が推奨するのは以下の構成です(全部オープンソース):
基盤技術
- Docker:環境を丸ごとコンテナ化
- Ollama:ローカルLLMの実行エンジン
- Mistral 7B:日本語対応の軽量LLM
- ChromaDB:ベクトルデータベース(RAG用)
フレームワーク
- LangGraph:マルチエージェントの協調制御
- LangChain:LLMの操作を簡単に
これで、月額料金ゼロ。必要なのは最初のハードウェア投資だけ。aka-link+1
実装の流れ(超ざっくり版)
ステップ1:Docker環境を立ち上げる
bash# Docker Composeで一発起動
docker-compose up -d
# Ollamaにモデルをダウンロード
ollama pull mistral:7b
ステップ2:LangGraphでエージェントを定義
LangGraphっていうのは、複数のAIエージェントを協調動作させるフレームワーク。まるでバンドのメンバーみたいに、それぞれが役割を持って協力します。qiita+1
python# エージェント1:文献分析
async def analyze_papers(state):
# 最新論文を検索して要約
papers = search_arxiv(state["topic"])
return {"papers": papers}
# エージェント2:仮説生成
async def generate_ideas(state):
# 論文から新しいアイデアを発想
ideas = llm.generate_hypotheses(state["papers"])
return {"ideas": ideas}
# エージェント3:実装
async def code_implementation(state):
# アイデアをPythonコードに変換
code = llm.write_code(state["ideas"][0])
return {"code": code}
# エージェント4:実験
async def run_experiments(state):
# コードを実行して性能測定
results = execute_code(state["code"])
return {"results": results}
# エージェント5:論文執筆
async def write_paper(state):
# 全部まとめて論文形式に
paper = llm.write_academic_paper(state)
return {"paper": paper}
ステップ3:進化的改良ループ
AlphaEvolveの「進化的アルゴリズム」を参考に、複数世代にわたって改良します。yorozuipsc
pythonfor generation in range(5): # 5世代繰り返す
print(f"第{generation + 1}世代の研究開始...")
# 10個の異なるアイデアを並列実行
results = await run_parallel_research(10)
# 上位3つを選んで次世代の親に
best_results = select_top_3(results)
# 親から変異体を生成(少し改良したバージョン)
next_generation = mutate(best_results)
この「変異」のところで、Absolute Zeroの「自己改良メカニズム」を使います。前世代の結果から学習して、自動的に次のアイデアを提案。note
実際に動かすとこうなる
このシステムを実行すると、例えばこんな流れになります:
【入力】 「ローカルLLMを使った音楽生成の新手法を研究して」
【第1世代】
- 文献分析:最新のAI音楽生成論文50本をサーベイ
- アイデア:「Transformerと音楽理論を組み合わせる」など10案
- 実装:最も有望な案をPythonで実装
- 実験:MIDI生成の品質を自動評価
- スコア:68/100点
【第2世代】
- 前世代の弱点(リズムの不自然さ)を分析
- 改良案:「リズムパターンを別モデルで生成」
- 再実装&テスト
- スコア:78/100点(改善!)
【第5世代】
- スコア:89/100点
- 論文自動生成:「局所的LLMによる音楽理論制約付き生成手法」
- GitHubリポジトリも自動作成
🚀 これ、何に使える?
このシステム、学術研究だけじゃなくて色々使えそうです:
音楽制作への応用
- 新しいジャンルの自動発見:既存の音楽理論を組み合わせて新しいスタイルを提案
- アレンジパターンの最適化:複数のアレンジ案を自動生成&評価
- マスタリング手法の研究:周波数特性の最適化を自動探索
コンテンツ制作への応用
- 動画構成の最適化:視聴維持率を高める構成を自動発見
- サムネイルデザインの進化的最適化:クリック率を最大化するデザインを自動生成
- ストーリー展開の分岐探索:複数のストーリーラインを同時に探索
ビジネスへの応用
- マーケティング戦略の自動生成:市場分析から戦略立案まで自動化
- 新規事業のアイデア探索:既存技術の組み合わせから新しいビジネスモデルを発見
⚠️ 現実的な課題と対策
もちろん、いいことばかりじゃありません。実装するとこんな壁にぶつかります:
| 課題 | 対策 |
|---|---|
| 評価基準が難しい | 定量的に測れる問題から始める(音楽なら「音程の正確さ」とか) |
| LLMが嘘をつく(ハルシネーション) | 生成したコードを実際に実行して検証 |
| 計算コストがヤバい | GPU並列処理、キャッシング、モデルの軽量化で効率化 |
| 生成物の品質保証 | 複数のAIでレビューし合う「ピアレビューシミュレーション」 |
📚 まとめ:AIが研究する時代をどう生きるか
2025年、AIは「道具」から「研究パートナー」へと進化しました。ZochiがACL本会議に論文を通したことは、AIが人間と対等な知的生産者になったことの証明です。note+1
でも、これは「人間が不要になる」って話じゃなくて、人間とAIの役割分担が変わるって話だと思うんです。
- AIが得意:大量の論文を読む、複数のアイデアを並列試行、地道な実験の繰り返し
- 人間が得意:創造的な問題設定、直感的な評価、倫理的判断、最終的な意思決定
今回提案した実装方法は、ローカル環境で完結するから、あなたのクリエイティブな秘密を守りながら、AIの力を最大限活用できます。
音楽制作でも、動画制作でも、ビジネス戦略でも。「研究」っていう枠を超えて、あらゆる創造的活動に応用できる可能性を秘めています。
さあ、あなたも「AIと共同研究」始めてみませんか?
📎 参考文献・出典一覧
論文・公式サイト
- AlphaEvolve公式(DeepMind)yorozuipsc
- AI Scientist公式(Sakana AI)itmedia
- Zochi ACL論文詳細(Intology AI)intology+1
- Stream Diffusion GitHubotama-playground
技術解説記事
- 2025年上半期AI関連注目論文Top10(Qiita)qiita
- ローカルLLMの可能性(日本総研)jri
- LangGraphによるマルチエージェントRAG実装(Qiita)qiita
- Absolute Zero論文レビューthemoonlight
実装ガイド
解説・分析記事
- 進化型AI革命:AlphaEvolveとSakana.ai(Arpable)arpable
- AI研究に革命を起こす「Zochi」(note)note
- 100%AI生成の論文が査読通過へ(ITmedia)itmedia
- Stream Diffusion技術解説(Weel)weel
この記事をトリガーにためしに実装してみた!なんて方がいたらご一報くださいませ。
- https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2503/12/news168.html
- https://note.com/panda_lab/n/n8a6c515ff762
- https://yorozuipsc.com/uploads/1/3/2/5/132566344/d01ff967d70bbc4a9471.pdf
- https://arpable.com/artificial-intelligence/generative-ai/evolutionary-ai-alphaevolve-sakana-analysis/
- https://note.com/hitomihoumu/n/nda13c93a74c9
- https://note.com/yaandyu0423/n/n3c9fa956b748
- https://www.intology.ai/blog/zochi-acl
- https://www.themoonlight.io/ja/review/absolute-zero-reinforced-self-play-reasoning-with-zero-data
- https://note.com/ainest/n/nfce1f20cafc7
- https://qiita.com/kittokito/items/9e09d64776c5b828e4e4
- https://blog.otama-playground.com/entry/20240614/1718299765
- https://weel.co.jp/media/tech/streamdiffusion/
- https://recruit.gmo.jp/engineer/jisedai/blog/streamdiffusion/
- https://aka-link.net/local-llm-rag/
- https://zenn.dev/stockdatalab/articles/20250627_tech_env_rag
- https://qiita.com/ksonoda/items/92a224e3f56255182140
- https://zenn.dev/5enxia/articles/ca15a52a93ab6b
- https://qiita.com/aokikenichi/items/d46edd2eb9ff375e1d16
- https://www.jri.co.jp/file/advanced/advanced-technology/pdf/16012.pdf


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